ゆっくりしていきんちゃい
僕の名前は、ロリス・ストレンジャー。今日で十歳。
僕は歌が好きじゃない。
僕の声は変なんだ。
街のみんなは僕の声を酒焼けしたオヤジともいうし、
歌った声を聴いて壊れたハーモニカだと言う。
だから僕は歌が嫌いだ。
「おーい、ロリス!!やっぱりここにいたかぁ!!ホントこの海岸が好きだなぁ。まぁ探すのが楽だけどな。」
この金髪で、ものすごいガリまたの少年は、パーズ・パンキソン。
「おもしろい話があるぜ。聞きたいかぁ?」
「いや、パーズ。」
「まぁまぁ、聞いてくださいよ。なぁ?」
パーズのこの手の話は決まっていい事がない。自分が興味を持ったら何が何でも必ず確かめようとする。時に、勇気があるのか、ただ単に単細胞なのか今でも良く分からないときがある。でも、聞かなかったら聞かなかったで後々めんどくさい。もう一つの特徴、パーズのしつこさはこの国一番だ。
「わかったよ。で、何?」
「ははっ。よしよし。よーく聞いとけよ。
ロリス、お前も知ってるだろうが。この島国ぺスカートレアイランドには、七不思議がある。一つは、湖に眠るドラゴン。二つ目は…。」
「空飛ぶパンプキンだろ?あれ全部さぁインチキだったし。だって湖に眠るドラゴンだって、彫刻家のビルおじいさんが、若い頃にフラれて飲めない酒飲みまくって暴れて、その挙句に自信作のドラゴンの彫刻を湖に捨てたやつだったし。空飛ぶパンプキンだって、漁師のゲンバーツ夫婦がいつものプロレス並みの喧嘩して奥さんがでっかいカボチャを投げたのを、運悪くショーツのばぁちゃんがそれを見て腰抜かして街中にカボチャが空飛んだって言いふらしたやつだったじゃん。あの話を真に受けてるってバカにされたじゃないか。僕はもうごめんだよ。」
「確かにあれはオレが悪かった!!でもな今回は違うんだよ。七不思議、七不思議っていつもオレが言ってるのに七番目の話はしてないだろ?」
「もともと七不思議なんてないからじゃないの?」
「その通り。というか、知らなかったんだよ。でもな、七番目あったんだよ。本に書いてあったんだ。あの古い文献しかない頭でっかちの図書館があるだろ?」
「リムーバーストン歴史書館?でもあそこは偉い学者しかはいれないんじゃ…。」
「そう、しかしここは冒険家パーズですよ。深夜こっそり忍び込んだのさ。まぁ辺りが暗くて何も見えなくてさ。しばらく彷徨ってたんだ。そしたらやたらデカイ扉の怪しい部屋があってさ。恐る恐るその部屋に入って行ったんだ。入った瞬間、何かに足躓けてそのまま勢いよく本棚に頭ぶつけたんだ、生まれつきの石頭が災いして、たちまち上からバサバサって本が降ってきて慌てて逃げ出したんだ。」
「で、本はどうしたのさ?」
「聞いて驚くなよ。無我夢中で家に帰ってさ。部屋に戻って一息ついてから、おやつに食べようと思って入れといた飴を出そうとポケットを見たんだ。そしたらさ、本の一ページの切れ端が入ってたんだ。しかしびっくりしたよ。オレが探してた七番目の伝説が書いてあったんだからな。いくらオレでも、こんなにうまい話があるはずがないって思ったんだ。でもあの歴史書館に行くまではなかった物がそこから帰ってきた時に入ってる。間違いなくあの歴史書館で紛れ込んだものだ。リムーバーストンは敷居が高い、誰でも入れる場所じゃないからこそ、ここに書かれていることは真実のはず。そうだろ?」
「…なんて書いてたの?」
「そういういと思って持ってきたぜ。ほら。」
僕は、パーズからその本の切れ端を渡された。
確かに古く、紙が黄ばんでざらざらしている。
僕はどうせまた変なことが書いてあるんだと思いながら読み始めた。
「… 最後に私は生涯の軌跡としてここに記す。
遺跡に残っていた古代文字をやっと私は解読できた。
それにこう書いてあった。
『生きる者全てが心彷徨う、迷いの森
全てを映す湖、真実の鏡
最後の楽園と呼ばれし、夢みしの丘
死神が棲む、嘆きの崖
そして
ライオンが涙する場所
空飛ぶクジラに永遠の歌を捧げん』
これは願いごとを一つだけ叶えてくれるという伝説だ。
私がこれを解読したために、何人も願いを叶えようと
空飛ぶクジラを探しに行ったが帰って来ない。
時の権力者や、貴族たちも皆消えてしまった。
この伝説を恐れ、国はこの記録に関するもの、遺跡などを全て抹消するだろう。 私が責任を取らなければならない。
行ったら帰って来れないかもしれない。
しかし、消えた人々を探さねば。
ただもうすぐ私の子供が生まれる。
私の宝物だ。それだけが気がかりだ。
もうその子の名前は決めている。
名前は、ス… 」
ここで紙は切れている…。
「な?ロリス今回はヤバイだろ?しかもどうもおかしんだ。」
「どういうこと?」
「だってそうだろ。こんな貴族や王様がさ、消えてるのに誰もこの話を知らないんだぜ?」
「やっぱうそなんじゃないの?ほらパーズみたいな奴がいたずらしてるとか。」
「いや、オレの父ちゃんや母ちゃんに聞いたらさ、なんかおかしんだよ。あからさまにどうようしてさぁ。父ちゃんなんか葉巻逆に吸ったりさぁ、母ちゃんなんか皿三枚も落として割ったり。」
「考え過ぎなんじゃない?ほら、まず願いが叶うなんてお伽話じゃないか。そんな事できるんだったら…。」
「ロリスのその声治して欲しいって?オレは生まれた頃から、お前を知ってるから別に変だとは思わないけど。街のリスキーの連中はうるさいからな。自分の団子っ鼻棚に上げやがって。まぁ願いが叶うなら簡単に大金持ちになってきれいな女の人と結婚できるもんなぁ。」
「ねぇ、たまに思うんだけどパーズって本当に十歳?1」
「うるせぇよ。お前がチビなんだよ。」
「そっちこそうるさいな。僕は大人になったらおっきくなるんだ!!」
「わかったよ。もう日が暮れるから早く帰ろうぜ。」
僕はまだこの時、一枚の紙切れの伝説が交差する未来が来ることを知らずにいた。
光を失った一人の女の人に出会うまでは…。
僕は歌が好きじゃない。
僕の声は変なんだ。
街のみんなは僕の声を酒焼けしたオヤジともいうし、
歌った声を聴いて壊れたハーモニカだと言う。
だから僕は歌が嫌いだ。
「おーい、ロリス!!やっぱりここにいたかぁ!!ホントこの海岸が好きだなぁ。まぁ探すのが楽だけどな。」
この金髪で、ものすごいガリまたの少年は、パーズ・パンキソン。
「おもしろい話があるぜ。聞きたいかぁ?」
「いや、パーズ。」
「まぁまぁ、聞いてくださいよ。なぁ?」
パーズのこの手の話は決まっていい事がない。自分が興味を持ったら何が何でも必ず確かめようとする。時に、勇気があるのか、ただ単に単細胞なのか今でも良く分からないときがある。でも、聞かなかったら聞かなかったで後々めんどくさい。もう一つの特徴、パーズのしつこさはこの国一番だ。
「わかったよ。で、何?」
「ははっ。よしよし。よーく聞いとけよ。
ロリス、お前も知ってるだろうが。この島国ぺスカートレアイランドには、七不思議がある。一つは、湖に眠るドラゴン。二つ目は…。」
「空飛ぶパンプキンだろ?あれ全部さぁインチキだったし。だって湖に眠るドラゴンだって、彫刻家のビルおじいさんが、若い頃にフラれて飲めない酒飲みまくって暴れて、その挙句に自信作のドラゴンの彫刻を湖に捨てたやつだったし。空飛ぶパンプキンだって、漁師のゲンバーツ夫婦がいつものプロレス並みの喧嘩して奥さんがでっかいカボチャを投げたのを、運悪くショーツのばぁちゃんがそれを見て腰抜かして街中にカボチャが空飛んだって言いふらしたやつだったじゃん。あの話を真に受けてるってバカにされたじゃないか。僕はもうごめんだよ。」
「確かにあれはオレが悪かった!!でもな今回は違うんだよ。七不思議、七不思議っていつもオレが言ってるのに七番目の話はしてないだろ?」
「もともと七不思議なんてないからじゃないの?」
「その通り。というか、知らなかったんだよ。でもな、七番目あったんだよ。本に書いてあったんだ。あの古い文献しかない頭でっかちの図書館があるだろ?」
「リムーバーストン歴史書館?でもあそこは偉い学者しかはいれないんじゃ…。」
「そう、しかしここは冒険家パーズですよ。深夜こっそり忍び込んだのさ。まぁ辺りが暗くて何も見えなくてさ。しばらく彷徨ってたんだ。そしたらやたらデカイ扉の怪しい部屋があってさ。恐る恐るその部屋に入って行ったんだ。入った瞬間、何かに足躓けてそのまま勢いよく本棚に頭ぶつけたんだ、生まれつきの石頭が災いして、たちまち上からバサバサって本が降ってきて慌てて逃げ出したんだ。」
「で、本はどうしたのさ?」
「聞いて驚くなよ。無我夢中で家に帰ってさ。部屋に戻って一息ついてから、おやつに食べようと思って入れといた飴を出そうとポケットを見たんだ。そしたらさ、本の一ページの切れ端が入ってたんだ。しかしびっくりしたよ。オレが探してた七番目の伝説が書いてあったんだからな。いくらオレでも、こんなにうまい話があるはずがないって思ったんだ。でもあの歴史書館に行くまではなかった物がそこから帰ってきた時に入ってる。間違いなくあの歴史書館で紛れ込んだものだ。リムーバーストンは敷居が高い、誰でも入れる場所じゃないからこそ、ここに書かれていることは真実のはず。そうだろ?」
「…なんて書いてたの?」
「そういういと思って持ってきたぜ。ほら。」
僕は、パーズからその本の切れ端を渡された。
確かに古く、紙が黄ばんでざらざらしている。
僕はどうせまた変なことが書いてあるんだと思いながら読み始めた。
「… 最後に私は生涯の軌跡としてここに記す。
遺跡に残っていた古代文字をやっと私は解読できた。
それにこう書いてあった。
『生きる者全てが心彷徨う、迷いの森
全てを映す湖、真実の鏡
最後の楽園と呼ばれし、夢みしの丘
死神が棲む、嘆きの崖
そして
ライオンが涙する場所
空飛ぶクジラに永遠の歌を捧げん』
これは願いごとを一つだけ叶えてくれるという伝説だ。
私がこれを解読したために、何人も願いを叶えようと
空飛ぶクジラを探しに行ったが帰って来ない。
時の権力者や、貴族たちも皆消えてしまった。
この伝説を恐れ、国はこの記録に関するもの、遺跡などを全て抹消するだろう。 私が責任を取らなければならない。
行ったら帰って来れないかもしれない。
しかし、消えた人々を探さねば。
ただもうすぐ私の子供が生まれる。
私の宝物だ。それだけが気がかりだ。
もうその子の名前は決めている。
名前は、ス… 」
ここで紙は切れている…。
「な?ロリス今回はヤバイだろ?しかもどうもおかしんだ。」
「どういうこと?」
「だってそうだろ。こんな貴族や王様がさ、消えてるのに誰もこの話を知らないんだぜ?」
「やっぱうそなんじゃないの?ほらパーズみたいな奴がいたずらしてるとか。」
「いや、オレの父ちゃんや母ちゃんに聞いたらさ、なんかおかしんだよ。あからさまにどうようしてさぁ。父ちゃんなんか葉巻逆に吸ったりさぁ、母ちゃんなんか皿三枚も落として割ったり。」
「考え過ぎなんじゃない?ほら、まず願いが叶うなんてお伽話じゃないか。そんな事できるんだったら…。」
「ロリスのその声治して欲しいって?オレは生まれた頃から、お前を知ってるから別に変だとは思わないけど。街のリスキーの連中はうるさいからな。自分の団子っ鼻棚に上げやがって。まぁ願いが叶うなら簡単に大金持ちになってきれいな女の人と結婚できるもんなぁ。」
「ねぇ、たまに思うんだけどパーズって本当に十歳?1」
「うるせぇよ。お前がチビなんだよ。」
「そっちこそうるさいな。僕は大人になったらおっきくなるんだ!!」
「わかったよ。もう日が暮れるから早く帰ろうぜ。」
僕はまだこの時、一枚の紙切れの伝説が交差する未来が来ることを知らずにいた。
光を失った一人の女の人に出会うまでは…。
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