ゆっくりしていきんちゃい
だんだんと街はたくさんの人で賑わい、移動するのも難しくなってきた。僕は、カーニバルが行われているメインストリートを一通り歩いて周った。その中にはスパールコールはいなかった。それでもと思い、僕はまた小さな期待の中探しに周った。
「ワォーン!!ワォーン!!」
犬列車がやって来た。今日は一段と犬の遠吠えを鳴らしていた。
「こんなとこにいたのかよ。」
「あっパーズ。もう終わったの?」
「あっパーズ。もう終わったの?じゃねぇよ!!オレ海岸でずっと待ってたんだぜ?あれからどれ位経ってると思ってるんだよ。とっくに昼の時間は過ぎて、もう腹減ったよ。」
もうそんなに時間が経ってたんだ…。
「ごめん。じゃあなんか買って食べようか。」
「しかたない、お前のおごりで手を打とうじゃないか。」
「はいはい、分かりました。ところで大会はどうなったの?」
「あっさり負けたよ。入賞もできなかった…。やつらは凄いよ。」
…そんなに技術を争う大会だったんだ。
僕らは露店でクリームコッペパンを買い、食べながらビネス広場に行った。
ビネス広場で行われる喜劇はかなり人気があって、このカーニバルのメインの一つだ。いつもは難しい研究ばかりしている学者達がピエロになったり女装をしたりしてかなりマヌケな事をする。それが面白くてビネス広場いっぱいに人が集まる。今回はパーズの父さんも出るらしく、僕らは観に行く事になっていた。
僕らはビネス広場の大階段を上りながらくだらない話をして盛り上がってた。その時、階段を上る人ごみの中にスパールコールを見つけた。
「ん?どうしたんだ?ロリス。」
「スパールコールだ。」
「あぁ、あのお嬢様か。知ってるのか?」
「ちょっとね。パーズ知ってるの?」
「ちょっと前に家族で美術館に行ってよ、そしたらあの人の絵があってさ。なんでも目が見えないのに、絵が描ける天才で、隣町のスターゲートの、ウィンゲル家の一人娘だそうだ。オレは、絵とかに興味ないけど、あの絵はなんだか不思議だったかな。」
「不思議?」
「あぁ、あの人の絵の一つにリンゴの絵があったんだけど、俺達が知ってるリンゴの形じゃなくて…、それにリンゴの色も赤い色で描かずに何て言うのかな、虹色じゃなくて、でも色んな色が混ざってて…。」
「パーズはその絵を見てなんて思ったの!?」
「なっなんだよ。いきなり声をでかくして。まぁ観た時は、変だとか思わなっかたな。なんだかそのリンゴは、とてもおいしそうだった気がする。」
「おいしそう?それパーズがお腹減ってただけなんじゃない?」
「何だよ!お前が聞くから教えてやったのに!!それにお前変だぞ、ムキになって…。お前まさか…。」
「あッ!!早く行かないと始まりそうだ!」
パーズの言葉を振り切るように僕は走り出してた。
何なんだろう…僕。
広場に用意された客席はもうたくさんの人が座っていて、しばらく探して、やっと空いている席に僕らは座った。
僕はすぐにスパールコールがどこにいるのか探した。
僕らがいる所から反対側の西の席に座っていた。
スパールコールは家族の人と来てるみたいだ。
なんだか楽しそうだ…。
「ロリス君、君は喜劇を観に来たのかい?それとも彼女を観に来たのかい?」
パーズの変な口調で言った言葉で背筋がピンとした。
「あっあぁ…始まるみたいだよ!」
パーズの冷ややかな視線が刺さる…。もう、どうしたんだろ…僕。
僕が風邪をひいていないのに体が熱くなってる最中、喜劇は始まった。
今回、パーズの父さんは女装して出てきた。それを観て僕もパーズも、大笑いしていた。
喜劇は終始観客席から笑いが絶えず、大盛り上がりだった。
スパールコールも笑っていた。
僕は、あの時、ふと思った。今彼女にこの喜劇が見えているんだろうか?
彼女が目が見えないことを知っていたはずなのに、彼女が楽しそうに笑う姿を見て、僕はそう思わずにいられなかった。
喜劇が終わり、辺りは暗くなってきた。僕らは海岸へと向かった。
その途中にパーズの妹、リリーと合流した。
「もうお兄ちゃん、そんなもの拾わないでよ。」
「いちいちうるさいな。ほっといてくれよ。」
千切れた国旗を拾ったパーズにリリーはあきれた口調で言った。
パーズとリリーは一歳違いで、何かとすぐにケンカをしている。
リリーはパーズの妹なのにとても可愛い。鼻は高く、目は大きく二重。
僕はリリーに告白して見事にフラれた男の子を何人も知ってる。
逆にパーズが告白をしてパーズをフッた女の子も何人も知ってる。
だけど、凄く似ているところがある。
二人とも興味があるものは、何が何でも知りたいし欲しい。
そして絶対に諦めない。
「ロリス、また家に来なよ。私、ロリスのためにマフラー編んだの。」
「おい、リリーまだ夏だぞ。今マフラー作ってどうすんだよ。」
「うるさいな、今年の冬になって渡してもその前に寒かったらどうすんのよ!ロリスが風邪引いたら嫌だもん。だから早めに渡すの。」
「ありがとう。じゃあ今度行くね。」
「ロリス、嫌なら嫌といいなさい。手遅れになる前に。」
「だからうるさいの!!お兄ちゃんあっちに行って!!私達の邪魔をしないで。」
「私達っていつそんな感じになったんだよ。それにもう無理だぜぇ。今ロリスには好きな人がいるんだからな。」
「ええ!!ウソよ!!ねっ!ロリス。」
リリーが泣きそうな顔して腕を掴み僕を見てる。
「そんな訳ないよ。それに一回しか話した事ないし。」
僕はそう言った。
僕はスパールコールを好きなのかな…。
よく分からないや。
海岸について一番高い堤防に座り僕らは花火が打ち上げられるのを待った。
空にはたくさんの星が暗い夜に輝いて、月の明かりがまっすぐ僕らに光の道を作ってた。
このまま僕は、この道を渡って父さんに会いに行けるような気がした。
「キレイだね…」
リリーが言った。僕も本当にそう思う。
スパールコールにはどんな風に見えるんだろう。
もしかしたらあなたは僕達とは違う世界に生きてるの?
それとも僕達が本当の世界を知らないだけなんだろうか。
「ヒューン、ドンッパーン、キラキラキラ…。」
「わぁ花火上がった!!キレイ!!」
「ヒュー!!でっけぇ!!」
星の形をした花火が空に浮かんだ。
この花火が打ち上げれる数は、二百年前、この国を守った王様が死んだ歳にちなんで、平和の願いを込めて28発打ち上げられている。
この僕の話を見ている人たちには
この国の歴史はいつか語ることになるだろう。
これからぼくが見る世界は過去から現在そして未来へ繋がり、ようやく
姿を現してくるものだから。
そして、これから起きることは決して忘れないでほしい。
そして、あなたの子供にもいつかこの話をしてあげてほしい。
でも、もし、あなたが生きる意味をもう知ってるなら話す事をやめてほしい。
なぜなら、あなたはもう本当の世界を生きてるんだから。
僕らは花火が終わってもしばらくそこにいた。
そして、帰ろうってパーズが言って、僕らは家に帰った。
明日また、海岸にスパールコールがいることを願いながら僕は眠りに就いた。
「ワォーン!!ワォーン!!」
犬列車がやって来た。今日は一段と犬の遠吠えを鳴らしていた。
「こんなとこにいたのかよ。」
「あっパーズ。もう終わったの?」
「あっパーズ。もう終わったの?じゃねぇよ!!オレ海岸でずっと待ってたんだぜ?あれからどれ位経ってると思ってるんだよ。とっくに昼の時間は過ぎて、もう腹減ったよ。」
もうそんなに時間が経ってたんだ…。
「ごめん。じゃあなんか買って食べようか。」
「しかたない、お前のおごりで手を打とうじゃないか。」
「はいはい、分かりました。ところで大会はどうなったの?」
「あっさり負けたよ。入賞もできなかった…。やつらは凄いよ。」
…そんなに技術を争う大会だったんだ。
僕らは露店でクリームコッペパンを買い、食べながらビネス広場に行った。
ビネス広場で行われる喜劇はかなり人気があって、このカーニバルのメインの一つだ。いつもは難しい研究ばかりしている学者達がピエロになったり女装をしたりしてかなりマヌケな事をする。それが面白くてビネス広場いっぱいに人が集まる。今回はパーズの父さんも出るらしく、僕らは観に行く事になっていた。
僕らはビネス広場の大階段を上りながらくだらない話をして盛り上がってた。その時、階段を上る人ごみの中にスパールコールを見つけた。
「ん?どうしたんだ?ロリス。」
「スパールコールだ。」
「あぁ、あのお嬢様か。知ってるのか?」
「ちょっとね。パーズ知ってるの?」
「ちょっと前に家族で美術館に行ってよ、そしたらあの人の絵があってさ。なんでも目が見えないのに、絵が描ける天才で、隣町のスターゲートの、ウィンゲル家の一人娘だそうだ。オレは、絵とかに興味ないけど、あの絵はなんだか不思議だったかな。」
「不思議?」
「あぁ、あの人の絵の一つにリンゴの絵があったんだけど、俺達が知ってるリンゴの形じゃなくて…、それにリンゴの色も赤い色で描かずに何て言うのかな、虹色じゃなくて、でも色んな色が混ざってて…。」
「パーズはその絵を見てなんて思ったの!?」
「なっなんだよ。いきなり声をでかくして。まぁ観た時は、変だとか思わなっかたな。なんだかそのリンゴは、とてもおいしそうだった気がする。」
「おいしそう?それパーズがお腹減ってただけなんじゃない?」
「何だよ!お前が聞くから教えてやったのに!!それにお前変だぞ、ムキになって…。お前まさか…。」
「あッ!!早く行かないと始まりそうだ!」
パーズの言葉を振り切るように僕は走り出してた。
何なんだろう…僕。
広場に用意された客席はもうたくさんの人が座っていて、しばらく探して、やっと空いている席に僕らは座った。
僕はすぐにスパールコールがどこにいるのか探した。
僕らがいる所から反対側の西の席に座っていた。
スパールコールは家族の人と来てるみたいだ。
なんだか楽しそうだ…。
「ロリス君、君は喜劇を観に来たのかい?それとも彼女を観に来たのかい?」
パーズの変な口調で言った言葉で背筋がピンとした。
「あっあぁ…始まるみたいだよ!」
パーズの冷ややかな視線が刺さる…。もう、どうしたんだろ…僕。
僕が風邪をひいていないのに体が熱くなってる最中、喜劇は始まった。
今回、パーズの父さんは女装して出てきた。それを観て僕もパーズも、大笑いしていた。
喜劇は終始観客席から笑いが絶えず、大盛り上がりだった。
スパールコールも笑っていた。
僕は、あの時、ふと思った。今彼女にこの喜劇が見えているんだろうか?
彼女が目が見えないことを知っていたはずなのに、彼女が楽しそうに笑う姿を見て、僕はそう思わずにいられなかった。
喜劇が終わり、辺りは暗くなってきた。僕らは海岸へと向かった。
その途中にパーズの妹、リリーと合流した。
「もうお兄ちゃん、そんなもの拾わないでよ。」
「いちいちうるさいな。ほっといてくれよ。」
千切れた国旗を拾ったパーズにリリーはあきれた口調で言った。
パーズとリリーは一歳違いで、何かとすぐにケンカをしている。
リリーはパーズの妹なのにとても可愛い。鼻は高く、目は大きく二重。
僕はリリーに告白して見事にフラれた男の子を何人も知ってる。
逆にパーズが告白をしてパーズをフッた女の子も何人も知ってる。
だけど、凄く似ているところがある。
二人とも興味があるものは、何が何でも知りたいし欲しい。
そして絶対に諦めない。
「ロリス、また家に来なよ。私、ロリスのためにマフラー編んだの。」
「おい、リリーまだ夏だぞ。今マフラー作ってどうすんだよ。」
「うるさいな、今年の冬になって渡してもその前に寒かったらどうすんのよ!ロリスが風邪引いたら嫌だもん。だから早めに渡すの。」
「ありがとう。じゃあ今度行くね。」
「ロリス、嫌なら嫌といいなさい。手遅れになる前に。」
「だからうるさいの!!お兄ちゃんあっちに行って!!私達の邪魔をしないで。」
「私達っていつそんな感じになったんだよ。それにもう無理だぜぇ。今ロリスには好きな人がいるんだからな。」
「ええ!!ウソよ!!ねっ!ロリス。」
リリーが泣きそうな顔して腕を掴み僕を見てる。
「そんな訳ないよ。それに一回しか話した事ないし。」
僕はそう言った。
僕はスパールコールを好きなのかな…。
よく分からないや。
海岸について一番高い堤防に座り僕らは花火が打ち上げられるのを待った。
空にはたくさんの星が暗い夜に輝いて、月の明かりがまっすぐ僕らに光の道を作ってた。
このまま僕は、この道を渡って父さんに会いに行けるような気がした。
「キレイだね…」
リリーが言った。僕も本当にそう思う。
スパールコールにはどんな風に見えるんだろう。
もしかしたらあなたは僕達とは違う世界に生きてるの?
それとも僕達が本当の世界を知らないだけなんだろうか。
「ヒューン、ドンッパーン、キラキラキラ…。」
「わぁ花火上がった!!キレイ!!」
「ヒュー!!でっけぇ!!」
星の形をした花火が空に浮かんだ。
この花火が打ち上げれる数は、二百年前、この国を守った王様が死んだ歳にちなんで、平和の願いを込めて28発打ち上げられている。
この僕の話を見ている人たちには
この国の歴史はいつか語ることになるだろう。
これからぼくが見る世界は過去から現在そして未来へ繋がり、ようやく
姿を現してくるものだから。
そして、これから起きることは決して忘れないでほしい。
そして、あなたの子供にもいつかこの話をしてあげてほしい。
でも、もし、あなたが生きる意味をもう知ってるなら話す事をやめてほしい。
なぜなら、あなたはもう本当の世界を生きてるんだから。
僕らは花火が終わってもしばらくそこにいた。
そして、帰ろうってパーズが言って、僕らは家に帰った。
明日また、海岸にスパールコールがいることを願いながら僕は眠りに就いた。
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